小さな舟は風に吹かれて 6
年明けのカウントダウンが終わって、温泉につかった。
「秋田の乳頭温泉」の粉がお湯に溶けると乳白色が広がった。
コンサートのプログラムの真ん中にティータイムをいれていただいたので、
喉をケアするために控室で吸入器に顔を埋めていた。そこへシスターが入って来られた。
「電報で〜す!」透明のバッグに入ったスヌーピーだった。??
マーブルチョコレートのような筒を抱えているけれど・・・?
「その中に電報文が入っているのよ、きっと」老シスターの方がよくご存じだ。
友だちが気のきいたサプライズをしてくれたのね!と、うれしくなって筒を開けてみた。
まあ!! なんと送り主は同じマンションのR研究所の方たちからだった。
この激動の一年間、ほんとうに親身になって支えてくださった。
彼らの真心いっぱいのサポートとご献身は賢明で思いやり深く、
仕事上の怖さや孤独感を拭い去ってくれて、わたしは陰で何度も涙ぐんだ。
「コンサートが関西だったら、ぜったいに行くのに」と言ってくださった彼らの思いが
グッドタイミングで届いた。
スヌーピーとウッドストックは、まるで所長さんと所員さんのように見える。
親友は「ゆりちゃんがいちばん喜ぶものを選んでくださったのね」と彼らの心に感動していた。
他の荷物は宅配便で送ってもらったが、このスヌーピーとウッドストックは抱っこして帰ってきた。
31日の仕事納めの最後にR研究所の所長さんにご挨拶をした時のこと。
「この日を迎えられましたね。来年もいっしょにがんばって行きましょう!」
そのお言葉に“インマヌエル”の響きを感じたわたしは、また泣きそうになった。
わたしにとって最もたいへんな分野をサポートしてくださる所長さんにいただいた
温泉の素には、「心の奥にも温もりと癒し」という効能があった。