テンポ

 ご復活節に入り、朝食のときにコーヒーをいただく機会が増えた。
以前はインスタントも飲んでいたが、思うことがあり、豆を買うことにした。

 
 「便利快適」の流れに乗っている日常では、神さまの呼吸をいつの間にか無視しているように感じてしまう。
知らず知らずのうちに、人間に都合のいいテンポや基準で物事をジャッジしたり、支配したり・・・

 
 スーパーで手にする食材は、食卓へ上るまで実に長い時間と手間がかかっている。
土を耕し、堆肥を埋め込み、畝を作り、種をまき、間引き、草取り、中耕、防虫、追肥、防風、葉の整理。収穫したものから泥を落とし、ようやく台所へ。収穫した後の土には、疲れを癒すために灰を混ぜて休ませる。
 こうして何カ月も何年も時間をかけて食卓に上る食材のことを思うと、神さまが自分自身にも大きな忍耐をもって関わっていてくださることに気づく。

 
 お湯を沸かす間、コーヒー豆を手でゴリゴリと挽きながら「時間」を黙想する。そして、コーヒー農園で働く人々と輸出に関わる労働者に思いを馳せる。
この一杯をいただくわたしの中から、神さまと人々への感謝の香りが立ちのぼりますように。