✿ 安田大司教さまの思い出 ✿

安田大司教さまが旅立たれました。

むかし、わたしを司教館に雇ってくださったことでご縁をいただきました。
そのお人となりを彷彿とさせるエピソードを書かせていただこうと思います。




司教さまが引退され、しばらくしてのことでした。わたしはある事故に見舞われ、
司教さまの隠居先でもあった某施設で療養することになりました。
部屋は隣同士で、ミサでも食堂でもご一緒できましたが、その時わたしの身に
起きていたことについては沈黙していました。




数週間後、わたしは小康を取り戻し、その施設を後にすることになりました。
司教さまは玄関までお見送りに出て来てくださったのですが、わたしは娘の心で
単純に苦悩を打ち明け、ご指導を仰げなかったことに、やや恥ずかしさを感じつつ
靴を履いていました。

そんなわたしに司教さまは、いつものように静かでゆっくりとした口調でお言葉をくださいました。




「何があったか知ることはできませんでしたが、“すべては神の愛の計らいによる”のです。
どうか、これを忘れないで」




司教さまの荘厳なお言葉が、わたしの魂を大地に深く突き刺してくさいました。
このお言葉を、その後の人生で何度くり返し唱えたか・・・・




安田大司教さま、ほんとうにありがとうございます!

この小さな者の目にあなたは“本物の宗教者”と映りました。

あなたのお言葉はわたしのなかで永遠に響き続けます。