いのちの洗濯
上京したわたしに、友だちが銀座の書道展と根津美術館を勧めてくれた。
奥宣憲氏の書道展では、真理を指し示す名句をそれに合う芸術で表現されている。
拝見するうちに体幹に力がギュッと集まってくるような気がして、疲れたわたしに力が戻ってきた。
強さとしなやかさ。ひろがりとあつまり。人間としてのほんとうの自由へと誘われる。
祈りやヨガと響きあうように感じた。
根津美術館。行列してまで何かを手に入れるという体験は生まれて初めて。
でも、それだけのことはあった。
緒方光琳の屏風絵や仏像などが、これまで感じたことのない迫力と親しさを感じさせた。
真正面からこのわたしに向かい、挨拶してくれるような。時間と文化を超えて、二者が真摯に向き合う。
「はじめまして」・・・そのあとは沈黙のうちに雄弁に。
最高の会話、最高の音楽である“沈黙”がお互いのすべてを見せ合う。・・・はずが、
それを遮る97%のご婦人がたの“囀り”から逃げるように庭園へ。
わたしの全存在が清い緑の空間に包まれて
天へ吸い上げられるような気持ちよさ。ここの緑は高さと密度に恵まれている。
それプラス、神さまのあわれみによりお天気が良く、日ごろのはたらきに“いやし”をプレゼントしていただいた。