詩篇 8

神よ、人とは何ものか。 なぜ人の子をかえりみられるのか。  詩篇 8/5


二週間後の東京コンサートを控えて、準備に気が引き締まる時である。
絶対にひいてはならない風邪、疲れてはならない身体、下がってはならない“気”。
歌う仕事をしている人のご苦労を体験できる貴重な日々だ。
そんな時に叔母から「風邪姫さん、元気?」と電話が入り、「も〜(・。・; まだひいてないィ!」と抵抗する。


準備をしているのはわたしだけではない。
各地のバザーでCDを宣伝販売してくださっているシスター。彼女の心には確かに
あの歌が響いている。歌をとおして一日中神さまと戯れながら、語りながら
ご自分の召命をいきいきと生きておられ、修道服のポケットに小さなわたしを入れていてくださる。
シスターは時々ポケットを覗いたり敲いたりしてハプニングや喜びを分かち合ってくださるので、
わたしたちは笑い転げるのだ。


そして東京のスタジオではふたりのミュージシャンが伴奏の打ち合わせに半日を費やしてくださった。
聞くところによると彼らは長時間、曲について打ち合わせをしておられ、中からはあまり音が洩れてこなかったとか。
結局、明日も続けてくださるそうだ。


ホッコリ、のんびりタイプのお二人のご様子を思い描くと何とも微笑ましく思ったが、ふと胸が熱くなった。
二人の素晴らしいミュージシャンはアレンジするにあたり、歌詞の意味を深く読み込もうとしてくださる。
信仰の世界はことばですっきりと説明しにくいのだが、全身を耳にして歌詞の意味を尋ねてくださる。
それに、ギターとピアノのみのアレンジは組み合わせとして案外むずかしいそうだ。
「神さまからのプレゼント」とはいえ、自分が代理出産した作品をとても丁寧に扱ってくださるなんて、
こんなにありがたいことがあるだろうか・・・!


「かたじけない・・・」  身に余るお恵みに浴すると、いつも詩篇 8 が心に響く。夜空や青空を仰ぎながら・・・・