とうとう 生まれる時が やってきた・・・


   
   とうとう 生まれる時が やってきた・・・
   かくて、花婿がその寝屋から出て
   花嫁を その腕に引きよせ 抱きしめるように、
   あの優しい母は 彼をかいば桶に 寝かせた、
   そのとき、そこに 居合わせた 動物たちの間に。
   
   人々は 歌を歌い、天使たちは 調べを奏でた、
   こんなに違う 二者の間に 行われた婚姻を 祝って。
   
   しかし、かいば桶に置かれた神は
   そこで 涙を流して 泣いていた、
   その涙は 花嫁が 持参金として持ってきた 宝石。
   そして、こんな交換(とりかわし)を見た母は 言葉もなかった・・・

   
   人間の涙は 神のものとなり
   歓喜は 人のものとなった、
   それと これとは
   常に 縁のないものだったのに。       ドン・ボスコ社『十字架の聖ヨハネ詩集』西宮カルメル会修道院訳註より