ふたりの美女

「御恵みはいかに豊かなことでしょう」詩篇31/20


  父が遺してくれた宝の中で、もっとも輝いているのは父の恩人・友人たちだ。
  それぞれが、ことばや沈黙、または贈り物で支え、気遣ってくださる。

  みなさんに共通しているのは、父への友情の中で織りなされる“祈り”のようだ。

  きっと思い出の中で、冗談を言い合って・・・そして遺族の成長を見守ってくださるのだろう。


  そんな中、特にふたりの美女から貴重な示唆をいただく。

  父が病床から電話をかけては四方山話にお付き合いいただいたGFたちだ。

  どちらの方にもお目にかかってお話を伺ううち、少し疲れたわたしの心は愉快になっていく。

  なぜなら、父がおふたりそれぞれに話していたことと、わたしに話していたことが、見事に一致するから。

  かなり深い事情まで、事細かに一致する。もしわたしが窮地にたたされても、完全な証言が裏付けられるように?

  いや、そんなつもりはなかったかもしれないが、これも“ジイジ・マジック”の下ごしらえかもしれない。

  ふたりの美女はわたしに、穏やかに、しかもしっかりと“生きる心得”をお諭しくださる。

  父のこころを大切にすることや社会的なことまで、やわらかい口調であたたかく。

  「ジイジはセンスがいいな〜」とわたしは見とれつつ、お諭しを拝聴する。



  彼女たちの中に見えるマリアさまに微笑み返し、わたしは軽やかな足取りでまた坂を下っていく。