ミス六甲教会・モモちゃん

ミサ当番だった今朝、速足で教会の門をくぐった。
目に飛び込んできたのは花壇の中の怪しげな動き。姿は見えないが、そこにモモが居ることはすぐにわかった。教会に居住するブルドッグのモモは足が長くないので、植え込みにもぐるとまったく見えない。
すぐにミサの準備をしなければならないわたしは、近寄って遊びたい気もちをグッとこらえた。
今日一番の“抑制”の捧げものだ。でも、そのまま通り過ぎるにはあまりにも切ない♡
そこで、遠くからやや高い声で呼びかけた。 「モモちゃん!!」


するとその途端、モモのからだが宙に舞い、その植え込みから前の広場に躍り出たのだ!
そして、まん丸お目々でこちらをジッと見ている。
「この子、自分の名まえを認識していたのね・・・」ふだんの彼女はあまりにも呑気な挙動なので、失礼ながら・・・・疑っていたのはわたしだけだろうか?
とにかく、モモが自分の名を耳にしたときの俊敏な反応に感嘆した。


やがてミサの時間になり、朗読台に立ったわたしは「出エジプト記」の3章を読み始めた。
   主は、モーセが道をそれて見に来るのをご覧になった。神は柴の間から声をかけられ、「モーセよ、モーセよ」と言われた。
   彼が、「はい」と答えると、神が言われた。
   「ここに近づいてはならない。足から履物をぬぎなさい。あなたの立っている場所は聖なる土地だから。

柴の間におられた神と名を呼ばれたモーセ、植え込みの中に居て名を呼ばれたモモ。ポジションは逆だが、何となく重なっているようで、読みながら驚いた。


“人を恋い慕う神”は、いつもわたしたちひとりひとりをじっと眺めて、名を呼ばれる。
モモは自分の名を呼ばれた時に素早く反応して、軽やかに身をひるがえした。声の主を見つめる間、「わたしは何者でしょう?」と思っていたかどうかは定かでないが、モモはわたしから目を逸らさなかった。さすが、モモちゃん!
わたしもモモのように呼ばれた方をジッと見つめ、その先に言われた神のことばを聴きとりたい。

      わたしは必ずあなたと共にいる。