天使たち Ⅷ

 トマト・スプラウト・豆腐・玄米・蒟蒻・果物。
これがわが家の食卓のレギュラーメンバーだ。ここ数年こんな調子なので、おもてなし料理には程遠いメニューばかり。なので、いざ自宅でパーティとなると頭の中が真っ白になる。

 
 仲よし天使たちふたりと集まる“サミット”と呼ぶ会合(会食)で、、彼らにこの悩みを打ち明けてみた。ふたりとも料理の腕にはかなりの自信があるので、「そんなのかんたんじゃ〜ん!」と声を揃えたかと思うと、それぞれの口から次々にアイデアが飛び出してくる。
「オーブンを使えば・・・」「○○は見栄えがする」「△△は美味しいし・・・」「何にも迷うことないじゃん」と。
「は〜。なるほど。へ〜。」と頷きながら、おじさんたちにおもてなし料理を教わるわたしは気恥ずかしくなっていった。

 
 昨日、久しぶりのパーティをすることになったので、その数日前、天使のひとりに仕事を装って電話をした。一応、仕事の話をして、その後、「ところで、おもてなしのメニューって何がお勧めでしたっけ?」と訊いてみた。呆れながらも、夜になって送ってくれたレシピで作ったのがこのキッシュ。数種のスパイスの配合はわたしらしくテキトーだったし、色黒のおかめちゃんに仕上がったけれど、翌日には落ち着いた味わいになっていた。もっと美しく、もっと繊細な味付けにできるよう、またチャレンジしてみよう。


 
 自分に欠けたところを補ってくれるあたたか〜い天使たち。彼らに支えられて生きるって、ほんとうにしあわせなことだとしみじみ感謝した。
会えば冗談ばっかりで大はしゃぎの数時間。なかなか“しみじみ感謝”を口にできない。
でも・・・「ほんとうに助けられています。ありがとう(;_;)」