じいじマジック


久しぶりに父(じいじ)の追悼ミサをお願いした。土曜の夕方のミサの中で意向を加えていただくようにして、
身内だけに知らせて・・・と思っていた。ところが、喜んだ父は天国からマジックをかけたようだ。


まず、その日の午前中に、マンションのエレベーターホールでひとりの恩人に出会った。もし一瞬でも時間がずれていたら、決して出会うことがなかった。
これはきっと天からのはたらきかけね!と気づいたので、介護の間から今に至るまでお祈りで支えてくださっている恩人に追悼ミサのことを告げた。
彼女は「ちょうどそのミサにあずかる予定だったのです」と、驚きながらも喜んでくださった。



そして数時間後、家の前で別の恩人に呼びとめられた。葬儀ミサ以来の感動的な再会だ。長年お世話になったそのご夫妻とは、葬儀のときに涙を流しながら手を握り合った。
その数分後にはまた、父と親しかった人にエレベーターでばったり。


ミサの前にオルガンの準備をしていると、これまた父と長年親しくしてくださったご婦人が登場。ミサの意向を話すと「いつもはこの時間のミサにはあずからないのに!きっとお父さんがわたしを呼んだんやね(笑)」と喜んでくださった。他にも、父と40年以上友人でいてくださったご夫妻も、ミサの意向に合わせてお祈りくださった。

   
   「じいじ!わたしたちが地味にしようとしても、賑やかで楽しいことが好きね・・・」「ほんとうに、いろいろな方にお世話になったね」


ミサから帰って屋上に上ると、神戸の花火が最終段階。次々に空を染めるたくさんの色が、恩人方おひとりおひとりのように感じた。
この世の旅路はほとんどが茨に覆われた闇の時間だ。外見からはわからないが、苦しまない人、苦しみの少ない人はいない。
でも、たくさんの恩人に恵まれている人はきっとしあわせにちがいない。そして、暗黒を知れば知るほど、恩人の存在が鮮やかに浮き立ってくることだろう。