ルルドで起こったこと ①


“毎日が奇跡の連続”と思っているわたしは、信心業や特別な現象にあまり魅かれない。
聖べルナデッタは大好きだが、ルルド詣でに関しても特にあこがれは感じていなかった。

 ところが同じような感覚であられたわたしの霊的指導者がルルドで深い神体験をされ、昨年末に「機会があればぜひ一度」と勧められた。

 
 出発前日にギックリ腰になったわたしは、空港内を車椅子やカートで運ばれ、杖をついて機上の人となった。
「みなさんに迷惑をかけるようなら、巡礼の続きは断念し、ルルドに留まって祈りの日々を過ごそう」と考えていた。
 
 その頃巡礼メンバーは水浴をするか否かで迷っていた。わたしも長い時間、真剣に迷った。ギックリ腰に冷えは厳禁。まだ寒さ厳しいルルドで冷水に浸かって腰が悪化したら、治療をしてくださった先生にも申し訳ない・・・でも、せっかくだから体験したい、回心の恵みのためにも。

 
 ルルドに着き、この聖堂の門の前に立つ頃、迷いは消えて水浴に与る覚悟ができていた。
凍てつくような寒い朝、まずはグロットでミサに与る。オフ・シーズンなのであまり人気もなく、それがかえって清々しい。